AIモデルを用いたロコモティブシンドロームに
高齢患者の識別: 横断研究

人工知能(AI)モデルを用いて、高齢患者のロコモティブシンドローム(運動器症候群)を識別する方法を検討した横断研究です。具体的には、AIモデルの有効性を評価し、ロコモティブシンドロームの早期発見や予防に役立つ可能性を示しています。

Artificial intelligence model to identify elderly patients with locomotive syndrome: A cross-section study

https://doi.org/10.1016/j.jos.2022.01.010

介護

概 要

高齢者におけるロコモティブシンドローム(運動器症候群)の特定は、身体機能の低下や障害を予防する上で重要です。既存のロコモティブシンドロームのスクリーニングツールは存在するが、これらは時間を要し、本人が質問票に独力で回答できるかどうかに制約があります。この課題を克服するために、足底の圧力分布情報を活用し、人工知能(AI)を用いた意思決定システムによってロコモティブシンドロームを特定するスクリーニングツールを開発した。本研究では、このAIシステムの概要を説明し、その性能を評価します。

研究方法

本研究は、平均年齢73.5歳の409名を対象とした横断研究です。歩行中の足底圧力分布を記録するためにフットスキャン圧力測定システムを使用しました。画像処理のステップでは、足圧画像に基づいてロコモティブシンドロームの確率を算出するための畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を開発した。AIモデルのロジスティック回帰ステップでは、足圧画像のCNN出力に加え、年齢、性別、身長、体重などの予測因子の係数を推定しました。

結 果

AIモデルは、従来の臨床データと比較して、高齢者におけるロコモティブシンドロームの特定精度を向上させました。AIモデルの曲線下面積(AUC)は0.84(95%信頼区間: 0.79–0.88)であり、従来の臨床モデルのAUC 0.80(95%信頼区間: 0.75–0.85)よりも高かった。さらに、足圧分布画像を含めることで、予測アルゴリズムが有意に改善されました。(ネット再分類改善 [NRI]: 0.675, 95%信頼区間: 0.45–0.90, P < 0.01;統合識別改善 [IDI]: 0.059, 95%信頼区間: 0.039–0.088, P < 0.01).

結 論

歩行中の足底圧力分布を含むAIシステムは、ロコモティブシンドロームのスクリーニングに有効なツールであることが示されました。