Medicine & AI

「医療とAI」に関する企業の取り組みを掲載しています。


| 画像診断 |

AI技術を活用し、健診・診療時の胸部単純X線画像診断を支援。撮影した胸部単純X線画像を自動解析。結節・腫瘤影、浸潤影、気胸が疑われる領域を検出しマーキング。その領域を医師が再確認することで、見落し防止を支援します。事前に処理をおこなっているため、放射線技師の手を煩わすことなく処理結果を閲覧できます。「CXR-AID」の詳細はこちら
CerebraAIは、脳卒中など時間との戦いが求められる緊急疾患に対して、造影剤を使わない頭部CT(Non-Contrast CT)画像から異常所見を高精度で検出するAIプラットフォームです。直感的なユーザインターフェースにより、診断時間を大幅短縮、医療現場に自然に組み込める設計となっています。この技術は、既に世界3か国・50以上の医療機関で導入、15万件超の患者データで検証されており、現場での確かな実績を持ちます。背景には、アメリカにおける放射線科医不足と、脳卒中診断の迅速化ニーズの高まりがあります。Non-Contrast CTに特化したAIは、時間・コスト・安全性の面からも即時導入が求められており、CerebraAIは救命率向上に貢献するテクノロジーとして今後さらに期待されています。「CerebraAI」の詳細はこちら
株式会社 iMed Technologies は、豊富な医療データと最先端の機械学習を活用し、脳梗塞やくも膜下出血などに対する脳血管内手術の支援AIを開発しています。開頭を伴わずに行うこの手術法は、患者の負担が少なく、年々件数が増加していますが、高度な技術と注意力を要するため、わずかな操作ミスが命に関わる重大な合併症を招くリスクがあります。同社が提供する「Neuro-Vascular Assist®」は、リアルタイムで脳血管撮影画像を解析し、カテーテルの逸脱や画面外への移動を検知すると、音声と視覚で即時に警告を行う医用画像解析ソフトウェアです。現場の医師、特に若手医師をサポートし、手術の安全性を高めます。「Neuro-Vascular Assist®」の詳細はこちら
抗アミロイドβ抗体(アデュカヌマブやレカネマブなど)による治療では、脳浮腫や微小出血といったARIAが一定の割合で発生し、安全な治療継続のためには早期の発見と的確な評価が求められます。icobrain ariaは、MRI画像からAIがARIA-E(脳浮腫)およびARIA-H(出血)を高精度で解析し、治療前後の画像を比較して変化を追跡することで、医師の診断と治療判断を強力にサポートします。AIによって自動生成された定量レポートには、病変の位置やサイズ、重症度などの詳細が視覚的に示され、診療現場での迅速かつ客観的な判断材料となります。すでにFDA(米国食品医薬品局)の承認を受けており、海外では臨床実装が進んでいます。日本国内でもマイクロン社を通じて展開されており、アルツハイマー病治療の質と安全性を高める医療AIの先進事例として注目されています。「icobrain aria」の詳細はこちら

| 勤務の効率化 |

SIND株式会社が開発した「Caretomo」は、医療現場における業務効率化と質の向上を目指した、AIを活用した会話型看護記録作成支援システムです。患者との会話を即時に文字起こしし、経過記録の下書きを自動で作成することで、看護師の業務負担を大幅に軽減します。これにより、記録作成の時間を短縮し、記録の質を向上させることができます。実証実験では、経過記録作成時間が平均73%削減され、その効果が証明されています。現在、全国の病院で導入が進んでおり、医療現場の効率化とケアの質向上に貢献しています。「Caretomo」の詳細はこちら | 会社概要
TXP Medicalは「医療データで命を救う。」をミッションに掲げ、急性期医療におけるプラットフォームの構築から、医療データの利活用に至るまで、幅広いサービスを提供しているスタートアップです。医療現場の業務効率化と診療の質向上を目指し、医療データの記録・分析・共有を支援する「NEXT Stageシリーズ」を展開しています。救急医療や集中治療、さらには救急隊の現場で活用できる医療データシステムを開発・提供しており、迅速かつ正確な情報共有を可能にしています。さらに、医療AI技術の開発にも注力しており、診療支援や予測分析などに応用することで、医療現場の意思決定をサポートしています。加えて、医療データのプラットフォームを構築し、自治体や医療機関が保有するリアルワールドデータの解析を通じて、より良い医療の実現に貢献しています。そのほか、臨床研究の支援事業や、医療機関に対する経営支援・コンサルティングサービスも展開しており、医療の現場を多角的に支える取り組みを進めています。「NEXT Stageシリーズ」の詳細はこちら | 会社概要
TNTT東日本が開発した「医療文書作成支援AIモデル」は、医師の働き方改革と院内のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための取り組みです。 このモデルは、NTTが開発した大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」と次世代通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」を活用しています。この実証事業では、NTT東日本が運営する関東病院と遠隔地のGPUサーバーをIOWNのAll-Photonics Network(APN)で接続し、医療データを院内に保持しながら、低遅延かつ安全なAI学習環境を実現しています。 これにより、医師が行う診断書やカルテなどの医療文書作成業務の効率化が期待されています。 具体的には、プロンプトエンジニアリングやRAG(Retrieval-Augmented Generation)、LoRA(Low-Rank Adaptation)チューニングなどの手法を用いて、医療情報に特化した学習を行い、「tsuzumi」の精度向上を図っています。NTT東日本は、この実証を通じて、医師の長時間労働の軽減や医療現場の業務効率化を目指しており、今後は電子カルテベンダーとの連携によるソリューション開発や、他の医療機関への展開も視野に入れています。詳細はこちら
「Nurabot」は病院内の物流業務を担うために設計された次世代型の協働ロボットです。このロボットは、NVIDIAのJetson Orinプラットフォームを搭載し、高精度なセンサーとAIアルゴリズムによって、人や障害物を認識・回避しながら病棟内を自律移動します。主に薬剤や検体、医療器材の搬送を行い、これまで看護師が時間を割いて行っていた反復的な作業を代行することで、医療従事者の身体的・精神的な負担を大幅に軽減します。台湾の台中栄民総医院(TCVGH)では、実際にNurabotを導入した実証実験が行われており、複数のフロアを横断して薬剤を届けたり、検体を検査部門へ輸送したりする運用が開始されています。病院関係者からは「Nurabotの導入によって、1日数時間の作業時間が削減され、看護師がより患者中心のケアに集中できるようになった」との評価が寄せられています。さらにNurabotは、NVIDIA Omniverseを用いて病院内の「デジタルツイン」上で訓練されており、実環境と仮想環境を組み合わせた運用最適化が可能です。これにより導入前から病院の設計や動線に応じた最適なルート設定が可能となり、安全かつ効率的な運用が実現されています。Nurabotは、単なる機械ではなく、現場で医療スタッフと協力して働く“パートナー”としての役割を果たし、スマートホスピタルの実現に向けた象徴的存在となっています。詳細はこちら

| 介 護 |

トヨタ自動車株式会社が開発したリハビリテーション支援ロボット「ウェルウォークWW-2000」に、株式会社ネクストシステムのAI骨格検出エンジン「VisionPose」が活用されています。 ウェルウォークWW-2000は、脳卒中などで下肢麻痺を患った患者の歩行リハビリを支援するロボットです。このロボットには、患者の異常歩行をリアルタイムで判定する「歩行分析ガイド機能」や、リハビリを促進する「ゲーム機能」が搭載されています。これらの機能を実現するために、マーカーレスで高精度な骨格検出が可能な「VisionPose」が採用されました。 「VisionPose」の導入により、ロボットを装着した状態でも、患者の骨格情報をリアルタイムかつ高精度に検出することが可能となりました。これにより、臨床現場で実用的な歩行分析ガイド機能とゲーム機能の提供が実現されています。 このように、トヨタとネクストシステムの協業により、AI技術を活用した先進的なリハビリテーション支援が実現されています。「Welwalkウェルウォーク」の詳細はこちら | 医療現場や介護施設での活用
本製品は、撮影した動画からAIが自動で姿勢や動作を解析し、身体機能を客観的に評価することができます。これにより、リハビリテーションや転倒予防といった医療・介護現場での重要な課題に対して、科学的根拠に基づいたアプローチを支援します。「Rehab Cloud モーションAI」は、最新の姿勢推定技術と、10名を超えるリハビリ専門職の知見を組み合わせた独自のAIを搭載。これにより、従来は専門的なトレーニングが必要だった身体機能の評価を、誰でも簡単に、かつ高精度に実施できる仕組みを実現しています。さらに、分析結果に応じて120種類以上の運動メニューから最適なリハビリ提案を自動で行う機能も備えており、医療従事者や介護スタッフの負担軽減、利用者の健康維持・転倒リスク低減に大きく貢献しています。「Rehab Cloud モーションAI」の詳細はこちら
『AIREC(AI-driven Robot for Embrace and Care)』」は、接客や家事だけでなく、福祉・医療の現場における高度なタスクを自律的に学習・実行できる汎用型スマートロボットです。2050年には、調理・洗濯・清掃などの日常タスクから、移乗支援・清拭・食事介助といった介護支援、さらには点滴交換や手術支援といった看護・医療補助までを担うことが目標とされています。この目標に向けて、AIRECは、機械的柔軟性と環境適応性を融合させたソフトロボティクス、および人と自然に関わり合う身体知・コミュニケーション知能の開発を進めています。また、社会的受容を見据えた活動も並行して進められています。さらに、AIRECの応用モデルである「Dry-AIREC」では、身体的な動作支援やバイタル情報の取得といった医療・介護への実装が進められています。Dry-AIRECは、高齢者やリハビリ患者を対象に、肩や腕の関節角度を安全に広げるリハビリ支援や、ベッド・椅子からの起き上がり補助など、自立を促す身体動作支援を行います。加えて、Dry-AIRECが人の手をそっと取ることで、脈拍・血圧・体温などの生体情報を自然な形で取得できる技術の開発も進められており、利用者に違和感を与えずに健康状態をモニタリングする新たな可能性が期待されています。詳細はこちら

| 手術支援 |

ソニーグループ(株)による手術器具の自動交換と精密操作が可能なマイクロサージェリー支援ロボットを開発。高精度な操作性とAI技術を活用し、医師の手の震えを補正しながら極細血管や神経の縫合など、微細で高度な手術を可能にします。これにより、医師の負担を軽減しつつ、手術の成功率向上や患者への負担軽減が期待されます。最先端のロボティクス技術を活かし、未来の医療を支える革新的なソリューションを提供します。「マイクロサージェリー支援ロボット」の詳細はこちら
eXeXは、AIを用いて手術中のコミュニケーションや効率性を向上させ、チーム全体が調和して動ける環境を目指しています。Apple Vision Proとの連携により、術者はハンズフリーで視覚的なチェックリストを使用でき、AIが各手術室や術者のスタイルに応じて柔軟に対応します。また、AIと言語モデル、コンピュータビジョンを組み合わせることで、道具の位置把握やチームメンバーへのリアルタイムな指示を可能にし、無駄な中断を減らします。空間認識機能によって術者の視線を把握し、より直感的で効率的な手術環境を実現しています。このように、eXeXはAIを活用して、手術室をまるで交響曲のように調和の取れた空間へと変えていこうとしています。詳細はこちら

| 臨床推論 |

チェコの企業Board of Innovationが提供する開発されたAIベースの臨床意思決定支援(Clinical Decision Support, CDS)プラットフォーム Glass Health。このシステムは、臨床推論を行う際に役立ち、鑑別診断や治療計画を迅速に提案します。Glass HealthのAIは、患者の症状や情報を入力することで、医師にとって有益な推奨を提供し、臨床判断をサポートします。医療現場での効率向上と、より正確な診断を目指しています。「Glass Health」の詳細はこちら
千葉大学発のスタートアップ企業である株式会社OPQRSTは、医療者の問診力向上と患者に対する安心な医療提供を目指して、AI模擬患者問診シミュレーション「OPQRST」を開発しました。現役の総合診療医が経営に携わり、医学教育のDX化と問診技術の向上に取り組んでいます。医学教育の現場では、OSCE試験における模擬患者の確保が大きな課題となっており、全国の医学部の約98.6%が負担を感じているとの報告があります。特に、模擬患者の確保に関しては85.3%の大学が課題として認識しています。このような背景の中で開発された「OPQRST」は、AI模擬患者の発話スタイルや協力度を調整できるシステムで、現在は47種類の症例に対応しています。今後は音声入出力や3D、VR対応など、機能の拡張も計画されており、さらなる教育効果の向上が期待されています。詳細はこちら
Baymatob社の「Oli」は、AIと多機能センサーを搭載した非侵襲的なウェアラブル医療デバイスで、分娩中の母体の状態をリアルタイムでモニタリングし、産後出血(PPH: postpartum hemorrhage)のリスクを出血前に予測することを目的としています。「Oli」は、世界で唯一、出産前に産後出血の高リスク者を特定できる製品として、米国FDAからブレークスルーデバイス指定を受けています。このデバイスは母体の上腹部に装着され、電気インピーダンス、体温、体動、皮膚の表面形状の変化などの生理的データを継続的に取得します。これらのデータはAIによって即座に解析され、リスクの高まりが検出された場合には医療者に通知されます。これにより、助産師や医師は従来の視診や経験に加えて、客観的なデータに基づいた判断が可能となり、産後出血に対する早期の対応につなげることができます。緊急子宮摘出など、重篤な結果に至る可能性を減らす手段として、医療現場での導入が期待されています。詳細はこちら

| 遺伝子診断と個別化医療 |

病による悲しみを減らすことを目指し、個別化医療を支援する3つのサービスを提供します。1)遺伝子検査で個別最適な治療を提案2)医療データ利活用で診断精度向上と創薬を加速3)AIアプリで治験情報を含む診療サポートを提供。詳細はこちら
THINK Surgical社が開発した TMINI® Miniature Robotic Systemは整形外科領域における個別化医療を推進する手術支援ロボットです。TMINIは、患者ごとの解剖学的構造やニーズに合わせて、CTベースの三次元手術計画を作成。術中は、術者の動きをリアルタイムで補正しながら、骨ピンを極めて高い精度で配置することができます。これにより、患者一人ひとりに最適化された骨切除とインプラントの配置が可能となります。さらに特筆すべきは、TMINIが搭載する 独自のデータベース「ID-HUB」 の存在です。このシステムは、複数メーカーの多様なインプラント情報を統合管理しており、医師は患者の状態や骨格に最も適したインプラントを柔軟に選択できます。これにより、標準化された手術手順に依存せず、患者ごとに最適な治療計画を構築することが可能となります。詳細はこちら