乳がん集団検診における全国的なAIの適用と
その実臨床での応用
AI支援による二重読影が、乳がんの発見率を高めつつ再検査率を維持し、マンモグラフィ検診の精度向上に寄与する可能性を示した論文です。
Nationwide real-world implementation of AI for cancer detection in population-based mammography screening
要 旨
マンモグラフィ検診における人工知能(AI)の導入は、後ろ向きの評価では有望な結果を示していますが、前向きの研究はほとんど存在しません。PRAIMは、ドイツの12の施設で実施された観察研究で、AI支援による二重読影と、標準的なAIなしの二重読影を比較する非劣性の実装研究です。本研究では、放射線科医はAIシステムの使用を任意で選択しました。2021年7月から2023年2月の期間中に、総計463,094人の女性が検診を受け、そのうち260,739人がAIサポートを利用し、119人の放射線科医が関与しました。AI支援を受けたグループでは、乳がんの発見率が1,000人あたり6.7件であり、対照群の1,000人あたり5.7件に比べて17.6%(95%信頼区間:+5.7%、+30.8%)高く、統計的に優れた結果が得られました。AI群の再検査率は1,000人あたり37.4件で、対照群の38.3件より低く、非劣性が確認されました(パーセント差:−2.5%(−6.5%、+1.7%))。再検査の陽性的中率(PPV)は、AI群で17.9%、対照群で14.9%でした。生検の陽性的中率は、AI群で64.5%、対照群で59.2%でした。標準的な二重読影と比較して、AI支援による二重読影は乳がんの発見率を高め、再検査率には影響を与えず、マンモグラフィ検診の指標を改善できる可能性を強く示しています。